2021年の試験から大学入試改革の一つである共通試験が始まります。
その中の目玉の一つが英語の配点の変化です。
リスニングとリーディングの得点配分が同じになり、リーディング100点リスニング100点になります。
もちろん変わるのは配点の変化だけではありません。
リーディングは問題の構造自体がまるっきり変わります。
対策を立てずに問題を解いていくのは不可能です。
共通試験リーディング全体の戦略
まずは細かい部分に行く前に、共通試験リーディング全体で使える対策、勉強法をお伝えします。
速読力が重要
これまでのセンター試験は4000語程度で推移してきましたが、
共通テストの試行調査では5400語と1000語も増えています。
大学受験生にとって1000語の増えるというは苦難になっています。
これまでの和訳をする英語という読み方では、いつまで経っても最後まで読み終わらないでしょう。
なので、 これまでとは異なった読み方の速読力が必要になってきます。
その上で重要なのが、スキミングという手法を理解して使えるようになることです。
これができるようになるとパラグラフごとにその意味を瞬時に理解していくことが可能になります。
普段読む時からパラグラフ単位で文章を理解しているかどうかが重要になってきます。
即解力が必要
もちろん、ただ速く読むだけでは答えまで導くことはできません。
速く読むというのは、速く解くこととセットです。
共通試験のリーディングでは内容一致問題がほとんどなので、スキャニングが使えます。
選択肢、問題文からその問題固有のキーワードを引っ張ってきて答えを選ぶことができるのです。
パラフレーズに気づく言い換え力
選択肢と本文、パラグラフ内での言い換えに気づく力が重要になってきます。
そのためには、代名詞、定冠詞といった文章同士をつなぐ言葉を見ていくのももちろんなのですが、
単語レベルでの言い換えわかるようになる必要があります。
まずは論旨を取れるようになること、文章の中で大事なことが何かを理解できるようになりましょう。
設問を解く前に、問題文を読む前に問われているのか?設問の意図を確認して解き始めてください。
共通試験リーディングの設問ごとの分析
ここまでで共通試験全部の問題に共通する聞き方、解き方を紹介してきました。
続いては、各設問ごとの特徴を踏まえてどのように解いていくのが良いのかをみていきましょう。
共通試験リーディング大問1の分析
まずは大問1からみていきましょう。
- 細かいところに拘らず、重要情報を取り込むことができるかどうか
A問題とB問題が出題されます。
29年度の試行調査ではA,B両方ともチラシから読み解く問題が出題されています。
一方30年度では、A問題では手紙型の問題が出題されています。
出題形式は異なっていますが、問われていることは同じです。
CEFER レベルはA1程度となっています。
ですので、英語のレベルは全設問中で一番簡単になっています。
共通試験リーディング大問1の着眼点
どのような状況なのかをすぐに把握することと、
設問からどのようなことが問われているのかを瞬時に把握していく必要があります。
と言ってもすぐにわからないと思いますので、、、具体的に問題を見ていきましょう。
まずは、30年度のA問題から見ていきます。
まずは赤線で囲ったところを読んで、登場人物と状況を確認してください。
今回であれば、English clabのメンバーであることと、ALTから手紙が来ていることくらいがわかれば良いでしょう。
続いて設問を読んでいきましょう。
まずは設問の1つ目から読んでいきましょう。
主語が先生で、動詞がwantsで目的語であるあなたにYasminに何かを尋ねてもらいたいと言っています。
この次に重要なのが、選択肢です。
この設問の場合は選択肢まで見ていきましょう。ですが、選択肢全てを覚えることは不可能です。
なので、画像で見せたように縦で読んで、5W1Hを聞いているのと、動詞は見ておきましょう。
大事なことなので、もう一度言いますが、
選択肢は一文一文丁寧に読むのではなく、
縦に読んでどのようなことが聞かれるのかを瞬時に把握する癖をつけてください。
情報量は多いほうが良いのですが、設問ごとで情報がかぶっているところまで丁寧に読んでいても、意味がありません。情報の差分に注目して、どういう話を捉えたら良いのかを掴んでください。
このあとは、問題文に移って、該当箇所を探していきましょう。
設問文にaskとあったのでざーと目を通して、疑問文になっているか、
ask表示となっている部分を探してください。
ここで大事なのは一文一文丁寧に訳出をして進めないということです。
答えに全く関係ない部分で詰まったりしていても全く成績は上がりません。
Can you askの部分を探すことができたらこの段階でクリアです。
この部分を探すことができて間違えた場合は、単語力や精読力に問題があります。
もし、間違えてしまった場合は、どこに問題があったのかを確定させましょう。
続いて、問2ですが、ここは解き方考え方は基本的に問1と同じなので割愛します。
また、B問題についてもここも少し長くなっただけで考え方は大体同じです。
同じ手順で進んでください。
説明文→問題文→選択肢→該当部分のサーチ→答えの部分の確定
設問Aよりも問題文が長い分、サーチが難しいのですが、
チラシごとの小見出しに着目してみていくことで場所の確定は容易にできると思います。
共通試験リーディング大問1 勉強法は?
この大問は、いかに早く該当箇所を探して、スキミングをしていくのかが重要になってくる設問です。
間違えてしまう・・・という場合は、単純に見ている部分が間違えてしまっている可能性が高いです。
また、該当箇所を見つけることができている場合は精読ができてないです。
この様に一つ一つ自身ができてない原因を探して分析していくことが、できることにつながります。
共通試験リーディング大問2の分析
続いて、大問2を見ていきましょう。
- レシピ問題と議論問題
- イラストがある
- ファクト&オピニオン問題
- 配点 20
- 難易度 ☆☆
大問1と同じくA問題とB問題が出題されます。
29,30年度両方ともほとんど同じ形式です。
A問題では29年度がインターネットの記事を読み込む、30年度では、料理のレシピ
B問題では生徒があるトピックに対して議論をしているという文章です。
出題内容は若干異なっていますが、問われていることは同じです。
また、この設問は大問1よりも少し分量が長くなりますが、
答えの根拠となる該当箇所を探すことは比較的簡単に探し出すことができます。
共通試験リーディング大問2の着眼点とは?
この設問の着眼点は、ファクト&オピニオン問題でしょう。
多くの受験生はこの違いを意識して読んでいないことが多いです。
何がファクトで、何がオピニオンなのかを意識することが読みながら重要です。
とはいえ、なかなかそう言っただけでは判断しづらいと思います。ですが、英語の場合は、オピニオンかどうかを判定しやすい言語です。
下記の様な言葉が入っていたら、その文章はオピニオンという判定をしましょう。
- 法助動詞
- 価値判断
- 思考を表す動詞(think,suppose,believeなど)
- 感情、思考を表す副詞(supprisinglyなど)
もちろん、上記以外でもオピニオンとなりうる場合もありますが、
基本は上記がオピニオンという判定で問題ありません。
実際に問題を見てみよう
さて、早速問題を見ていきましょう。試行調査の30年度のA問題の方を見ていきます。
最初に見た段階で行っていかないといけないのは、
どの部分がオピニオンが入っていてどの部分がプロセスとなりうるのかということです。
今回の設問であれば、下記の様な分け方になるでしょう。
- タイトル➡︎オピニオン
- 序文➡︎ファクト&オピニオン
- 材料➡︎ファクト
- 手順➡︎ファクト
- コメント➡︎オピニオン
この様な形に分けてどこに答えの根拠があるのかを設問を読んだ段階で
見積もりを立てて、読み進めてください。
ファクトオピニオン問題以外は通常の内容一致と変わらないので、説明は不要でしょう。
Bの方はディベートということで対立点があるという点以外は、
Aと同じ考え方で構いません。対立点がある分読みやすいと思います。
共通試験リスニング大問2 勉強法は?
これは共通試験に限った話ではないですが、普段からオピニオンとファクトを分けた読み方は必要です。この二つを読み分けないと普段読んでいる上でも論の進み方がわからなくなってしまいます。
この問題が苦手!という人は根本的に読み方を変えていく必要があるでしょう。
共通試験リーディング大問3の分析
- ブログ/雑誌問題
- 推移展開問題
- 推論問題
- 配点 10
- 難易度 ☆☆
この問題の特徴は推移展開を追うのと、推論問題が出題されているのが特徴となるでしょう。
共通試験リーディング大問3の着眼点は?
Aはこれまでの特段変わったところはありません。
そのため、これまでお伝えしたテクニックを使って、
いかに早く答えまでたどり着けるかがポイントになるでしょう。
Bが少し難しい設問になっていますので、見ていきましょう。
文章自体はA2程度の文章で平易です。
この文章を読めない!と言う人は、基礎の徹底的な見直しが必要ですので注意が必要ですよ。
設問が少々特殊な形になっていますので確認していきましょう、
推移展開問題について
問1の方をまずは考えていきます。
29年度は場所の推移が30年度は感情の推移を見ていく問題となっています。
場所の推移を聞く問題の方が簡単そうですが、探すのに慣れてないのか、、
データを見ると45.2%しか正答者がいません。
感情の推移を見ていく問題は、74.8%が正解を選んでいます。
この問題は選択肢をうまく使って、
解答の根拠になる部分を読み取っていくことで答えを出すことができます。
最後まで探さずとも、探しやすいものから一つ一つとっていきましょう。
問3も大きく見ると推移展開を見ていくタイプの問題ですね。
選択肢の動詞に着目して、切っていくことで正解できる問題です。
推論問題について
問題文がimplyやsuggestとなっている問題です。問題文に直接書いていないので若干の推論が必要になります。
73.3%の正答率となっているので、そこまで難しい問題ではないと思いますが、問題形式に慣れていないと書いてあることを探してしまうので少し大変です。
共通試験リスニング大問3の勉強法は?
ディスコースマーカーや文頭に出てくる副詩句、副詞によって、
話の流れを変えていっているので、その部分を意識して読むと良いです。
ディスコースマーカーを見ないで、英語を読むのは不可能なので、普段からできる様にしていきましょう。
共通試験リーディング大問4の分析
ここから文章のレベルもB1となり少し難しくなってきます。
- 2つの文章
- グラフの読み取り
- 配点 16
- 難易度 ☆☆☆
文章のレベルが上がってくるので、ちょっと難しくなってきますね。
ですが、この大問については問題自体はこれまでのセンター試験と大きく変わりません。
共通試験リーディング大問4の着眼点は?
グラフの読み取りと、グラフが書いてある文章の読み取りが必要になってきます。
二つの文章がでてくるので、二つの文章どちら、両方なのかといった答えの根拠がどこにくるのかを確認していく作業が必要になります。
ですが、難しい点はそれくらいで他は難しい点はないでしょう。
共通試験リーディング大問4の勉強法は?
ここで重要なのは、比較表現の確認と増減を表している単語の確認です。
比較表現の中でも、倍数表現、強調表現といった関係が理解できてないであれば再確認してください。
共通試験リスニング大問5の分析
- 伝記
- 難易度☆☆☆☆
- 配点 20点
共通試験の中でもだいぶ変わった問題形式となっている大問5です。
慣れてない学生が多かったのか正答率が極端に下がっています。
共通試験リーディング大問5の着眼点は?
問題形式が下記の空欄を埋めていくことが目的になります。
大きく変わっているのが、年号とそれに対応した出来事を本文から探して埋めていくという問題と、複数答えが存在する問題でしょう。
まずは、年号問題を考えていきましょう。
とはいえ、年号問題は年号ごとに整理していくことができれば確実に正解することができます。
5問全てあっていないと正統にならないので落ち着いて一つずつ埋めていきましょう。
また解答の根拠がどこまで渡るのかはわからないので、長文全範囲見ておく必要があります。
続いて、複数解答問題を見ていきましょう。
この問題はかなり難易度が上がります。とはいえ、該当範囲がそこまで広くありません。
重要なのは、何を探すのかと言う意識を持って探して解くことです。
いきなり選択肢を見てはいけませよ!
今回の問題であれば、問題部の下記を探して読んでください。
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追加で選択肢を流し読みで読んで、該当箇所を探して答えを探していきましょう。
共通試験リーディング大問5の勉強法は?
特殊形式な問題なので、特化した勉強というのはなかなか練習は難しいです。
ですが、年号を探すのはそこまで難しくないです。
その後に間違えてしまうのは、精読での読み取りができてないことに起因します。
英語が苦手な人はまずは精読ができるようにしましょう。
これは共通試験全ての問題に影響があります。
また、ディスコースマーカーや文頭に出てくる副詩句、副詞によって、話の流れを変えていっているので、その部分を意識して読むと良んでください。
これは大問3と同じですね。
共通試験リーディング大問6の分析
それでは、最終問題の問6を見ていきましょう。
- 二つの独立した長文
- 難易度☆☆☆☆
- 配点 24点
30年度は最後は独立した二つの長文でした。
29年度は長めの長文1つとポスターとなりました。どちらのタイプが出ても困らない様に注意してください。
本解説では30年度について解説をしていきます。
共通試験リーディング大問6の着眼点
A問題とB問題が存在し、それぞれ500word程度の英語を読んでいきます。
■ A問題について
A問題はCEFRでB1なので英検2級~準1級程度なので、受験生にとっては平易です。タイトルを読むのと各パラグラフのスキミングを行うことができれば、問題なく問題を読むことができるでしょう。
特徴的な問題はこちらの問題になるでしょう。
和訳=英語の勉強と思っている受験生にとっては、この問題は全く太刀打ちができないでしょう。
パラグラフ間の論理関係を聞いている問題になります。
非常に難しい問題ではありますが、ディスコースマーカーの意味を考えることができれば、問題を解くことは難しくありません。
今回の問題であれば、Despiteという譲歩がありますので、
この部分が前のパラグラフとのつながりということになることがわかります。
この様な形で、接続関係を作るディスコースマーカーについては和訳ではなく意味を考えて覚えることが重要です。
■ B問題について
B問題ですが、長文のレベルはこちらもAと同じく平易です。
グラフ化する問題があります。こちらもこれまでと同じく 比較表現に着目することができれば問題ないでしょう。
また、正答率で難しくなっているのがこちらの問題です。
二つ回答を答えさせる問題です。
複数答える場合だと確かに難しくなるのですが、、 この問題の場合は問題の難しさというよりもここまでにくるまでに時間を使い果たすことが多くなっています。時間配分に気をつけて解くようにするとよいでしょう。
共通試験リスニング大問6の勉強法は?
全体を通して分量が多いので、スキミングとスキャニングといった要旨を瞬時に読み解くことができる技術を身につけておくのは必要が不可欠です。
もしできてない人がいる場合は日々英文を要約をするなどの練習が必要です。
共通試験リーディング対策は対策に絞らず、その本質は日常の英語の読み方を変えていく
共通試験対策というと、何か対策をすれば点数が取れると思いがちですが、実際は違います。
今回お伝えした様な読み方を普段から使える様になっていないと正直英語はできるようになりません。
何度も言っていますが、まだ英語が苦手!という受験生は精読から必ずやってください。
その上で論理的に読む、要旨掴んで読んでいくという流れです。
それでは頑張ってください!
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